インターネット通販の普及で我が家にいながら全国各地の特産品を自由に購入できる時代とは言え、モニタで見るのとリアルでは空気感も違えば、買い物の楽しさにも差があります。
それも、味わったことのない味覚や土地土地ならではの産物ともなれば興味もひとしお。そんなまだ見ぬ日本に気軽にお邪魔できるのが自治体や観光協会などが運営するアンテナショップです。
特に有楽町・銀座・日本橋周辺は、各道府県が自慢の逸品をアピールするアンテナショップの激戦地です。
その数は、今思いつくだけをあげてみても、「北海道どさんこプラザ」、「銀座わしたショップ(沖縄)」の二大巨頭を筆頭に「 ザ・博多」、「いわて銀河プラザ」など約30店舗にものぼります。特に有楽町の交通会館はここ一ヶ所で11もの道府県、町の特産に出合えるアンテナショップの集積地です。
アンテナショップ巡りのスタートは有楽町交通会館
交通会館と言えば、情報番組などでも一番人気の北海道どさんこプラザがあまりにも有名ですが、見逃せないのが全国の地域特産品を集めた「むらからまちから館」です。
酒、加工品、水産などに分けられた各コーナーは醤油・味噌などの調味料一つをとっても地域・味・個性の異なるものが隣同士に並びデザインだけを見ても魅力的。
南北に長い国ならではのバラエティに富んでいます。
B級グルメ好きなら「まちからむらから館」向かい側の大阪百貨店へ。気取らない大阪庶民の味やナニワのジョーク商品など一味違った個性が楽しめます。
アンテナショップとはちょっと異なりますが、交通会館での個人的なおすすめは1階のピロティ部分で開催される交通会館マルシェ。
特に土日には20〜25ものお店が並ぶ大盛況。ここで各地ご自慢の新鮮野菜やハーブ、ナッツ、コーヒー、フルーツなど日頃は目にしない“地元”の美味を発見する喜びも。
営業時間は12時から18時までとなっていますが、商品がなくなり次第閉店というお店もあるので、早めにチェックしておくといいですね。
銀座散歩の途中で立ち寄りたいお国自慢のあれやこれ
次のおすすめは晴海通りを渡った日比谷ゴジラ像前の「かごしま遊楽館」。
ここではなんと言っても本場のさつま揚げ、夏なら鹿児島名物の「しろくま」もぜひ賞味してみたいもの。うなぎの養殖日本一とは関係ないのでしょうが、細長い店内はなぜかうなぎの寝床という表現がぴったり。
2階にはこれまた鹿児島特産の黒豚しゃぶしゃぶで人気のお店「遊食豚彩いちにいさん」が入っています。銀座散歩の途中でお手頃価格のランチメニューというのもいいですね。
外堀通り沿いにはくまモングッズも豊富な「銀座熊本館」、加賀・能登などブランド野菜の「いしかわ百万石物語・江戸本店」、そして大人気の「銀座わしたショップ」、そのお隣には坂本龍馬のふるさと「まるごと高知」と並びます。
東銀座方面へ足を向けると歌舞伎座前には「いわて銀河プラザ」南部せんべいに、フランス語じゃない方のサヴァ缶、ご当地小岩井農場系の味など、遅い時間には商品が割引になることもあり、ここも人気のショップです。
また、同じ町内にはゆるキャラぐんまちゃんでおなじみ、その名も「ぐんまちゃん家(ち)」が、といった具合にこの界隈を歩くだけでちょっとした味覚と物産の日本紀行が楽しめると知った次第です。
日本橋界隈での各県漫遊記も
ここ10年ほど再開発などで若い世代からも注目を集めている日本橋エリアも有楽町に負けず劣らずのアンテナショップ銀座?。2丁目の日本橋プラザビル内には「富士の国やまなし館」と「おいでませ山口館」が、同じく2丁目では中央通りを挟んで「日本橋長崎館」と「ここ滋賀」がという密集ぶり。
さらに首都高下を抜けた日本橋室町はと言うと「日本橋とやま館」「奈良まほろば館」「ブリッジにいがた」「にほんばし島根館」「三重テラス」と続くアンテナショップストリート。老舗の名店が立ち並ぶ日本橋で、見て良し、味わって良し、知って良しの3良しを楽しむアンテナショップめぐりは素敵な休日の楽しみです。
アンテナショップの向こうに広がる日本の風景
どうかすると私たち日本人でさえ小さな国と意識しがちな日本ですが、同じ縮尺でヨーロッパ地図の上に投影するとその意外な大きさに驚かされます。南北の長さはドイツ、フランス、スペイン3国の端から端までに達するほど。
亜寒帯から亜熱帯までと気候や風土が違えば、そこに暮らす人々の習慣、風俗、言語(方言)など地域ごとの文化も微妙に異なる日本。
卑弥呼の時代から数えても2000年近い歴史を誇るこの国は、私たち自身もまだ知らない魅力の数々に満ちています。アンテナショップは物産や情報を通して各県の魅力に出会う開かれた小さな窓。グルメはもちろんですが、地域それぞれの文化や伝統、気質といった多様性に富む日本の底力を再発見する体験でもあるのです。
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