日本の食

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「ぶっかき氷」とは?古い書物にも登場する夏の定番かき氷の語源!

2023年12月19日

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日本の夏の風物詩といえばかき氷。氷にシロップというシンプルなデザートですが、日本の夏には欠かせないものですよね。今日はそんなかき氷の歴史や由来について紹介します。


かき氷の由来

何気なく食べているかき氷ですが、名前の由来はご存知でしょうか。これには諸説あるのですが、有名なのは、欠けている氷が使われていたから、という説です。冷凍庫などがなかった昔は、氷は貴重品でした。そのため、かき氷は氷の欠けている部分から作られていたので、かき氷になったというわけですね。


また明治時代以降は、冷凍技術の発達と共にかき氷は広く一般に普及しました。ダイナミックに氷を砕いて食べることから、東京では「ぶっかき氷」と呼ばれ、その呼び方が変化して「かき氷」という名称が日本全国に定着したと言う説もあります。


抹茶のかき氷

清少納言も食べた?歴史は平安時代から

かき氷は一体いつごろから食べられるようになったのでしょうか?はっきりとしたことは分かっていませんが、なんと清少納言の随筆「枕草子」に原型であろうものに、最古のかき氷に関する記述があります。枕草子が成立したのは西暦1001年ごろとされますから、となると千年以上も昔から食べられていることとなります。


「削り氷にあまづら入れて、新しき金鋺(かなまり)に入れたる」という記述から、削った氷に「あまずら」と呼ばれる砂糖が無かったころの甘味料をかけて、器に入れたものを食していたということが推測されます。


これは枕草子の中でも「あてなるもの(上品なもの)」という段に記述されているので、当時は貴族が食べる高級品であったことも分かります。藤原定家の「明月記」でもこの削り氷は登場します。平安時代の貴族の人々も、その美味しさを知っていたのでしょう。歴史に思いを馳せて食べれば、一味違った美味しさを感じられるかもしれません。


明治期から次第に現在のスタイルに


明治時代に入ると、氷が製造されるようになり、かき氷はより多くの人に親しまれるようになります。当時のお雇い外国人で大森貝塚を発見した、エドワード・モースも食べていたという記録を残しています。


それでも明治初期は天然氷を使用していたため、その消費量には限りがありましたが、明治16年ごろになると、人工氷の技術が発達し、一挙に大衆的な存在へと産まれ変わります。
そこから昭和にかけ、氷が機械で作られるようになり、また氷削機も普及し、次第に現在のような形に近づいていきます。


ちなみに、初めてのかき氷屋ができたのは明治2年、横浜の馬車道にかき氷屋を開いたと言われています。当時は冷凍庫がないため、なんと函館から氷を運んでいたんだとか。


戦前は砂糖をかけただけの「雪」や糖蜜をかけた「みぞれ」、小豆餡の「金時」が主流でしたが、終戦の1945年以降は「レモン」や「イチゴ」などフルーティーなシロップが続々と日本全国のお祭りの屋台や店頭に並ぶようになりました。高度経済成長が進むにつれ、「メロン」や「ブルーハワイ」など現在も人気のシロップが一般的になっていったようです。


最近ではトロピカルなシロップも増えてきました


時代に合わせて常に進化を続ける


昭和の終わりから平成にかけて、一旦かき氷のスタイルは固定されますが、2010年代ごろからまた徐々に新しいものに変化を遂げています。


日本全国で猛暑日が増えたこともあり、アイスクリームと共に消費量は増加しました。幅広い年代の方がかき氷を手にしている光景をよく見かけるようになりました。


また、削氷機も進化を遂げたものが近年発売されています。薄くつながった状態で氷を削り、ふわふわに作ることができるものが売れ筋です。


冷凍庫の氷を使い、手軽に電動で氷をふわふわに削る家庭用の削氷機も人気です。シロップをかける昔ながらのスタイルにとらわれない新しいかき氷も次々に発売されています。

トッピングにジャムや綿あめを利用したものは、インスタ映えするとあって若者に人気です。SNSの発達により、フォトジェニックなトッピングが施されたものは、発売されるとすぐにその情報が拡散されます。作る人の自由な発想で、進化を続けています。


現代ではフォトジェニックな変わったトッピングが増えてきました

かき氷の歴史を振り返ると、古くから人々に親しまれてきたことが分かります。
近年では、毎年のごとく目新しいスタイルのものが発売され、進化が止まることはありません。熱中症予防の水分補給も啓蒙されるようになり、需要は高まっています。
日本最高気温が記録された7月25日は「かき氷の日」と制定されています。
かき氷の日に限らず、猛暑日にはかき氷で涼しいひとときを過ごしてみてはいかかでしょうか。

かき氷を食べる姉妹


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