文化・マナー・習慣

文化・マナー・習慣

もうマンガやアニメだけじゃない 日本文化の海外進出

2023年10月16日

関連キーワード:日本文化 海外進出 

世界の国々には、歴史や環境、地域性などを背景としてそれぞれに固有の文化があります。民族的な特性とも言い換えられるこの文化の違いは、見方を変えれば交通・地理的要因など人間の行動半径がある程度限定されていた時代だからこそ生まれた違いでもあります。 しかし、ここ数十年の間に進んだリアルタイムの情報ネットワークは、この状況を大きく変化させました。音楽の世界ではラジオやレコードを媒体としてグローバル化され、マンガやアニメなど日本発のビジュアル表現も急速に世界に浸透していきました。かつて日本文化の代名詞だった茶道囲碁浮世絵歌舞伎など伝統芸能が長い時間をかけた道のりは加速度的に短縮化されるに至ったのです。 そして今世界で注目を集めてるのがあの日本を代表する食の世界なのです。

世界を新しい食の虜にするラーメンの世界侵略 アメリカの場合

寿司天ぷらすき焼きが日本の食文化という認識はもう過去のもの。回転寿司の世界進出により寿司はすでに日本食というよりSUSHIという新しい国際的な食のジャンルとして国際的に認知されるまでになっています。それに続くのが、今や国民食とさえいわれているラーメンです。アメリカではこの数年の間に大人気となり「Food&Wine」や「Fine Cooking」など著名な料理雑誌の表紙を飾るほどとなっています。
なかでもニューヨークで人気なのが『一風堂』や『一蘭』などの日本でもおなじみのチェーン店。あの特有のとんこつラーメンの風味がアメリカ人の味覚を刺激しているのです。アメリカのインスタントラーメン事情も無視することはできません。日本企業や中国、韓国産のインスタントラーメンだけでなく、アメリカの会社も独自の袋麺やカップ麺で参戦しています。これはアメリカがラーメンを一過性のブームではなく、食の大きなトレンドとして認識しているという証拠。今後さらなる開発が進めば、アメリカラーメンの日本進出という自体さえ起こりかねない勢いです。日本人としてはちょっと照れくさいような楽しみのような気分ですね。

ところ変わってヨーロッパのラーメン事情は

ヨーロッパでもフランス、ドイツなどでラーメン人気に火がついています。パリでは千葉から進出の『こってりラーメンなりたけ』や札幌ラーメンからスタートした『ひぐま』、おなじみの「一風堂」が人気。そんな激戦区パリでの極め付きは元エアフランスのパイロットがオーナーのその名も『こだわりラーメン』。日本のラーメンに惚れ抜き、数年の修行を経て完成させたその味はパリっ子ばかりか在仏日本人にも大人気の本格派です。
ドイツもラーメンの激戦区。経済都市デュッセルドルフの『麺処匠』や日本でも人気の鶏白湯ラーメン『麺屋 武一』、フランクフルトには横浜ラーメン博物館でも人気となった『無垢-muku-ツヴァイテ』や味噌ラーメンの『Ramen Jun』、ベルリンにも『RAMEN HAKO』や『Cocolo Ramen』などがあり、ドイツの味として根付いた感があります。
また、スローフード運動の発祥地でパスタの本場イタリアでラーメンブームはというと、ローマの『RAMEN BAR AKIRA』、ミシュランで一つ星を獲得した日本人シェフ監修の『MAMA-YA RAMEN』、イタリア人オーナーによる手打ち麺の『BISTRO GIAPPONESE WARAKU』などこちらも多士済々。
かつて落語家の林家木久蔵(現林家木久扇)師匠が『全国ラーメン党』の名で出店していたヨーロッパのラーメン先進地スペインと合わせて、まさに日の出の勢いのヨーロッパラーメン事情、これからの展開にも大いに期待したいところです。ただ気になるのはその価格、日本に比べると単価千数百円と高すぎるのがちょっと心配。外食料金の高いエリアだけに、今後さらに競争が激化することで低価格化が進み、より多くの人に楽しんでもらえるようになるとうれしいのですが…。どちらにしてもこのラーメンブーム日本人としては将来のおいしい選択肢が増えるという点でも楽しみですね。

この記事に関するキーワード

関連記事

このページ先頭