文化・マナー・習慣

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満月を意味する「十五夜」|中秋の名月を味わう日本の風習

2024年01月02日

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十五夜は秋の行事のひとつで、日本文化の中でも良く知られています。
別名中秋の名月と呼ばれる十五夜は、太陰太陽暦の8月15日夜に見える月のことです。中秋の名月を楽しむ習慣は平安時代に中国から日本に伝わったもので、農業とも深い結びつきがあります。満月前後の月は非常に明るいのが特徴で、天気が晴れなら美しい中秋の名月を楽しむことができます。

中秋の名月の起源

中秋の名月の起源とは

日本古来の風習だというイメージが強い中秋の名月ですが、実は中国の唐時代にあった中秋節が起源です。
中秋節は春節や端午節と並び、中国の三大節句のひとつとして広く知られています。中国では満月が円満の象徴であり、1年の中で月が最も美しい旧暦の8月15日に家族の幸せや豊作を祈ります。中秋節は祝日になるので、遠方に住む子供たちも実家に戻って家族団らんを楽しみます。
中国では中秋節に満月に見立てた月餅を家族で食べて健康を祈りますが、月餅は高級贈答品としても使われます。月餅は仲の餡によって種類が分かれますが、中秋節によく出るのが餡の中に塩卵の黄身が入った月餅です。焼きたての生地を真ん中で分けると、餡の中に丸い黄身が出てきて満月のように見えます。
供え物をして月見を行う習慣は平安時代に日本にも伝わります。貴族をはじめ武士や町民も楽しんだ十五夜は、収穫に感謝するお祭りでもあるので収穫したものを備えるようになります。

貴族をはじめ武士や町民も楽しんだ十五夜は、収穫に感謝するお祭りでもある

日本の十五夜と供え物

日本では十五夜に供えものをしますが、供え物をする理由は月が信仰の対象であったことも関係します。
一般的に月が窓から見える部屋や縁側に供えた後で、供えたものを家族で食べます。供え物で最も有名なのが月見団子です。月見団子は米粉を丸めて団子にしたもので収穫祝いや豊作祈願、幸福などの意味があります。15子の団子を積み上げて供えます。一番上は月見団子の数が2個で次が4個、一番下が9個になります。
ススキは豊作祈願をこめて飾ります。ススキは魔よけとして使われていた時期もあります。秋の七草もススキと一緒に飾ります。
萩や桔梗、撫子など秋の七草は食用の春の七草とは異なり鑑賞するだけの植物です。
地域によっては芋類を供える家もあります。十五夜には芋類の収穫を祈願する意味もあるので、里芋などが供えられます。同時期に獲れた野菜や果物を一緒に供えることもあります。
ツルのある野菜や果物は縁起の良い供え物として知られます。

日本では十五夜に供えものをします

中秋の名月を自宅で楽しむ

最近は若い世代でも中秋の名月を自宅で楽しむ人が増えています。
月を眺められる部屋に月見台を置いて供え物を飾れば、マンションでも優雅に十五夜を過ごせます。庭がある場合は庭にテーブルを出して供え物を飾ることもできます。
月見団子を供える器は本来は三方を使いますが、今は三方がある家は少なくなっているので普通のお皿やお盆に供えればOKです。器に敷く白い紙は半紙や天ぷら用の敷紙で十分です。紙の敷き方には正方形の紙を対角に敷いてから紙の端を垂らす方法と長方形の紙を2辺か4辺に垂らす方法があります。
広めのベランダがあれば、ベランダにテーブルとイスを出して月見の宴を催せます。リビングから月が見える場合は、窓際にテーブルを寄せて月を眺めながら食事や晩酌を楽しむことができます。
高級料亭では中秋の名月を楽しむための宴を開催する店もありますが、部屋の照明を落としてキャンドルを灯せば、マンションでもアパートでもロマンチックなひとときを過ごすことができます。

平安時代は上流階級の貴族が優雅に月見を楽しみましたが、現在でも同じように月見を楽しむことができます。農業に従事する人が減っていることもあり収穫を祝うという側面はなくなりつつありますが、美しい中秋の名月を堪能しつつ月見団子を食べることができます。
日本では月をめでることが風流とされてきた歴史があります。
月を眺めながら月うさぎの伝説を子供に語ってあげると親子で楽しめます。

満天の星と月

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