文化・マナー・習慣

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日本文化の黎明期はいつ?独自文化の始まりを解説

2023年07月02日

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国の周囲全てが海に囲まれ、「島国」として独自の文化を育んできた日本。海産物や大地にも恵まれた豊かな自然環境は、人々の発展に大きく貢献してきました。豊かな緑あふれる日本の自然は、四季折々に様々な表情を見せ人々の心を潤してくれます。情緒豊かな日本の文化は、美しい自然と共生しながら発展し、深い趣と共に長い歴史を刻んできました。

自然とともに育んできた日本の歴史と文化

日本の文化は、一言で言うと「自然」という言葉に凝縮されています。そんな日本の歴史と文化は、まさに独自の豊かな自然環境が育んできたと言えるでしょう。美しい自然環境の中で歴史を紡いできた日本は、いかなる時も自然と共に、そして自然に抗わずに生活してきたのです。 古来の日本人は、人間よりも自然の方が価値のある気高い存在として崇めてきました。日本の自然が持つ偉大な力の前には、人間は余りにも小さな存在であると感じた日本人ならではの思想と言えるでしょう。その思想は、仏教の思想へと受け継がれています。仏教の思想の1つである「空」は、自然の一部としての人間のあるべき姿、そしてあるがままに生きるという教えです。 仏教における「空」とは「0」、つまり存在しないという意味です。人間という「個」として生きるのではなく、自然に同化して生命をつなぐこと。ひいては、死に対しても抗うことなくありのまま受け止めることが日本文化および仏教の礎となっているのです。 古くから日本人は、自然の素晴らしさだけではなく、自然の過酷さや畏怖も含めたすべてを当たり前の事として受け止め、しかし決して軽んずることなく敬虔な思いで向き合ってきました。そんな日本文化の黎明期は、人類が日本という土地で命を紡いできたときから始まっています。

日本文化の黎明期は日本の歴史と共にある

日本文化の起源は、日本という土地で人類が生活を始めた縄文時代までさかのぼります。縄文時代の日本で生活していた人類は、「縄文人」と呼ばれ日本人のルーツとなった人種です。

縄文人とは

太古のアジア人種である縄文人とは、あまたに存在したアジア人種の集団から分裂し独自に進化した人種です。縄文人の平均身長は男性が160cmに満たない程度で、女性では150cm未満であったと言われています。体躯は頑丈でたくましく、顔立ちは若干彫りが深く目鼻立ちがはっきりとしていました。およそ12%の縄文人の遺伝子が、現代の日本人に受け継がれていることも明らかになっています。

日本文化の黎明期は縄文文化にある

日本文化の始まりは、日本で人類が生活を始めた縄文時代に発展した縄文文化にあります。縄文文化は、やはり縄文土器に代表されるでしょう。世界最古級と言われる縄文土器とは、縄の目の紋様をあしらった優美なフォルムが特徴です。縄文土器を初めて発掘したアメリカの動物学者が、当時の報告書で「cord marked pottery(縄目をつけられた土器)」と表現したことにより、後に縄文土器といわれるようになりました。 縄文土器の中で一番美しいとされているのが、火焔型土器です。燃え盛る炎をモチーフにした優雅で美しい独特のフォルムは、装飾性豊かで太古の日本人のロマンを感じさせてくれます。笹山遺跡より発掘された火焔型土器は、国宝に指定され十日町市博物館により所蔵されています。

日本の歴史の黎明期における文化の発達

日本の黎明期に発展した文化「縄文土器」。縄文土器の形態は時の流れや地域によって変遷を重ねてきました。縄文土器を作り出すきっかけとなったのは、食事の煮炊きに用いるためだったと言われています。そのため、初期の縄文土器には深鉢が多いという特徴があります。主となる文様は、爪形を土器に刻印した「爪形文」、粘土で作った紐上の物を巡らした「隆起線文」です。 後の縄文土器には、深鉢以外にも浅鉢が出現しています。浅鉢が出現したことから察するに、縄文時代中期ごろには食事を盛り付けるようになったと推察されています。中期の紋様は縄文が最も多く、そのほかには貝殻や竹簡を使用した紋様も見られるようになりました。 後期の縄文土器には、「注口土器(ちゅうこうどき)」といわれる急須状の土器や、皿、壺などがあります。後期に入ると、形状が多様化してきました。後期の装飾では、「磨消縄文(すりけしじょうもん)」と呼ばれる美しく洗練された文様が流行しています。磨消縄文とは、土器の表面に縄文を施し、縄によって沈みこんだ線で土器表面を区画し、区画に合わせて縄の紋様を手ですり消して作られた文様です。 縄文時代の人々は、通年居住地を変えることのない生活をしていました。それぞれの地域に集落を構成し、数十軒程度の住居で集団的に暮らしを支え合ってきました。建築においては、およそ直径1mの木材を使用して、大型の竪穴式住居を構築しています。工芸技術も発達し、クリや漆、大豆や小豆などを用いて、編みかごや漆の工芸品の製作をしています。

日本文化の黎明期は、人類と自然の融合と共存にある

日本の文化は、人類と自然の融合と共存により誕生しました。豊かな自然環境に恵まれた日本は、自然を身近に感じ、そして偉大な存在として崇めながら文化を育んできたのです。それは後の日本文化の礎となり、仏教の思想の1つである「空」へ通じるものでもあります。自然に抗わず、そして自然と共に生きる古来の日本人から学ぶことは大変多いと言えるでしょう。

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