文化・マナー・習慣

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茶道や生花は知っていても香道ってちょっと耳慣れない言葉ですよね。

2023年11月24日

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子供の遊びとは別に大人の遊びにも長い歴史と伝統があります。茶道や華道、和歌などは日本の大人遊びの代表的な例です。特に戦国大名の間で大いに好まれた茶道は、教養ある武士の嗜みとして人間性を判断する指針ともなったほど。立ち居振る舞いなどに現れるちょっとした所作の違いから、その人の資質が判定されるというのですから、これほど怖い遊びもなかなかありません。 この大人遊びのひとつに香りを楽しむ香道があります。でも香道って‥そうイメージ的には匂い関係だろうなってわかりますけど、じゃあその実態はっていうと、日本人でも理解している人そう多くはないですよね。ということでまずは香道の基本から。

香道と 香水・アロマテラピーの間に

香道は、希少な南アジア産の天然香木の香りを判別する世界でも珍しい香りの文化。いってみれば現代の香りの魔術師、調香師的なセンスが要求される芸術なのです。多種多様な香りに接し、その違いを感じることは新しい感受性を育てることでもあり、肉体的にも精神的にも多くの効用があるとされています。最近ブームになっているアロマテラピーもそんな香りの文化の表れ。忙しい現代社会に生きる人々がアロマテラピーを求めるように、ストレスの多い戦国の時代を生きた人々も香道という嗅覚の文化を育てたのです。香水やアロマは香りを嗅ぐとストレートに表現しますが、香道では香りを聞くと表現します。“嗅ぐ”という表現に受け身のニュアンスを感じるのに対し、“聞く”には、どこか香りとその世界を相手に会話をしているような広がりが感じられます。本来、「聞」の字は、物の本質を探究するという意味もあるそうですから、より深い精神世界の存在を意識せずにいられません。

香を聞く その優雅な香りの楽しみ方

香道には六国五味という基準があります。六国とは伽羅(きゃら)、羅国(らこく)、真南蛮(まなばん)、真奈伽(まなか)、佐曽羅(さそら)、寸門多羅(すもんたら)の各香木の種類のこと。五味とは香りの特長を甘、苦、辛、酸、鹹(しおからい)の5つの味覚で表現したものです。香を聞く会では、ひとつの香炉の香りを全員が順番に鑑賞します。茶道と同様、お点前の作法はあるのですが、そこだけに拘る必要はありません。香の種類や香銘を知らないことに恥じず、自由な心であるがままの香りを聞くことが聞香の基本なのですから。
香水の本場フランスでも今香道は密かな人気、自国第一主義のフランス人も認める香りの芸術。これは本場日本の我々としては、その一端くらいには接しておきたいもの。
そんな香道を一度は体験してみたいという方は東京麻布十番にある「麻布 香雅堂 」へ。こちらのお店は香道具、香木、お線香などの和の香りの専門店。販売だけではなく「香道」のお稽古や香木の香りを聞き分ける「組香」などの体験レッスンも行われています。
その他にも鎌倉の名刹「東慶寺」、京都の「香老舗 薫玉堂」や「山田松香木店」でも体験することができます。香りのテイスティング、そうそんな感覚で気軽に参加してみるのもいいでしょう。
麻布 香雅堂:http://www.kogado.co.jp
東慶寺:https://tokeiji.com/event/experience/kodo
香老舗 薫玉堂:https://www.kungyokudo.co.jp/lesson/
山田松香木店:http://www.yamadamatsu.co.jp/exp/course01.html

まとめ

香の世界には10種類の素晴らしい特長「香の十特」があります。ストレス過多に陥りやすい日々の中で、精神世界を豊かに広げ、安らかな時間を取り戻すための習慣として、香りの日本文化「香道」を取り入れてみてはいかがでしょう。
(一)感覚を研ぎ澄ます
(二)心身を清浄する
(三)汚れを取り除く
(四)眠気を覚ます
(五)孤独感を癒す
(六)多忙時でも心を和ます
(七)沢山あっても邪魔にならない
(八)少量でも芳香を放つ
(九)何百年をへても朽ち果てない
(十)常用しても害がない

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