ORIGAMIといっても最近話題の決済サービスじゃありませんからね。それにしてもいつの間にか国際語になっていたんですね。折り紙=ORIGAMIってワード。海外のサイトを見渡しても、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・ロシア・ブラジルそれから韓国や中国にも。全部で20カ国以上の国に折り紙団体があるんですからね。この折り紙、遊びとしての面白さ以上に、折り方の工夫でサイズを変化させたり、構造的な可変性を活かした利用が可能だったりと、その特性が様々な先端科学の分野で注目されているのです。
ORIGAMI in the space NASAが折り紙だと?
冗談でもなんでもありません。折り紙にヒントを得た宇宙技術はすでにNASAの手によって実際に宇宙空間で使われているのです。観測機器に使われるソーラーパネルやアンテナなどは、打ち上げ時にはコンパクトに、宇宙空間での使用時には大きくといった相反する仕様が求められます。この折りたたみの手法として折り紙のテクニックが応用されているのです。山折り、谷折りを繰り返す「ミウラ折り」もそのひとつ。2つの端を引っ張るだけでシート全体を広げることができるというミウラ折りの特性は、宇宙でのソーラーパネル展開に最適だったのです。その他にも円筒形シリンダーに内蔵されたソーラーアレーを宇宙船が回転する遠心力を使って広げる機構など、NASAのエンジニアたちは、折り紙の専門家たちと協力して様々なアプローチを行っています。折り紙を応用した宇宙開発には、太陽などの光を利用して宇宙船の推力にする太陽帆や宇宙望遠鏡のガイア、2019年に打ち上げ予定のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡があります。
ロボットだって折り紙発想でエボリューション
NASAが目指しているのは広大な宇宙ですがその真逆、ミクロな世界でも折り紙のテクニックは脚光を浴びています。MIT(マサチューセッツ工科大学)のコンピュータ科学・人工知能研究所が開発したロボットは折り紙で作られたカプセル型の錠剤。飲み込むと胃の中で元の形に戻ります。これが子供によるボタン電池などの誤嚥のリカバリーに役立つのです。電池の誤嚥は胃壁を溶かす心配があるため、速やかな処置が求められます。このロボットは飲み込むことで胃の中で自動的に復元され、磁石との併用によりバッテリーを体外へと排出することが可能になるのです。将来的には磁石の助けを借りることなく、自動的に体内で動き回れるロボットの開発を目指しているということです。 またハーバード大学では「スナポロジー」と呼ばれる折り紙の技術を使って折られたシート状の物体を幾何学状の形にする実験が行われています。この実験では折り目を工夫することにより全くの平面から複雑な形状まで、多様な形や大きさに変形することをテーマとしています。具体的な例を挙げると構造的な材料を折りたたんだり組み立てたりすることで今までにないすぐに使える仮設シェルターや緊急避難用の救命ボートなど、生命の安全につながる分野への応用も期待されています。
おりがみミュージアムへ行ってみよう
2010年にオープンした「東京おりがみミュージアム」は折り紙作品を鑑賞できる常設展示場、折り紙関連図書を集めた資料室、折り紙教室ができる講習室を併設する折り紙専門の博物館。日本の伝統的な造形文化であり、すぐれた教育素材でもある折り紙のすべてが分かる施設です。知っているつもりでも、意外にわからない折り紙の歴史や作品の素晴らしさなど、日本が生んだ繊細な技術を知るためにもぜひ訪れてみてはいかがでしょう。
住所:東京都墨田区本所1-31-5
TEL:03-3625-1161/FAX:03-3625-1162
https://www.origami-noa.jp
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