文化・マナー・習慣

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遊びに見る伝統の日本文化 たこたこあがれ

2023年12月05日

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ギリシャ神話のイカロスの昔から空を飛ぶことは人類の夢でした。やがてこの夢は、1783年フランスのモンゴルフィエ兄弟の気球やライト兄弟のライトフライヤー号となり、現代の宇宙産業へと受け継がれることになるのです。 そんな空への好奇心が生んだ遊びに凧があります。世界には様々な凧がありますが日本の歴史に凧が登場するのは平安時代の中頃から、江戸時代には各地で大凧を揚げることが流行ったとされています。今では余り見かけることもなくなりましたが、昭和の中頃までは空き地で凧を揚げる子供の姿がよく見かけられました。 フィクションの世界で人間が凧に乗って空を飛ぶシーンがありますが、実際には不可能に近いそうです。計算によれば2.7m✕1.8mの凧に体重60kgの人を乗せるとして、空を飛ぶには毎秒21.9mの風速が必要とされています。安全を考えるとやめておいたほうが無難でしょう。

子供の日を祝い5月の空を舞う大凧

ゲイラカイトなど洋風の凧に対し、竹や木の骨組みに和紙を張った日本伝来の凧を和凧と呼びます。しかし、その呼び名は地域により様々です。長崎ではハタ、東北北部や九州西部、近畿、北陸、中四国の一部ではイカ、そして東日本・四国南部・九州東部ではタコとランダムな分布ぶりには、どんな文化の伝播があったのでしょう。陸路と海路の違いなどが影響しているのかもしれません。代表的な和凧に江戸凧、六角凧、奴凧、津軽凧などがありますが、それ以外にもひし形やひょうたん型などがあり、どれも長い歴史の中から生み出されたものです。 空を舞台にした日本の風物詩といえば花火が有名ですが、凧揚げもなかなかの人気。日本各地で盛り上がりを見せています。ゴールデン・ウィークには青森県弘前市岩木全国凧揚げ大会、縦15m、横11mと日本最大を誇る埼玉県春日部市西宝珠花の大凧あげ祭り、神奈川県・相模の大凧まつりと5月の空を舞うビッグイベントが開催される予定です。

青空に色彩やデザインを競う空中アート

日本料理ではありませんが、和凧はその彩色やデザインの美しさも特徴のひとつ。その多彩なラインナップの中からメジャーな存在として江戸凧、六角凧、奴凧、津軽凧についてご紹介します。


江戸凧

江戸凧の基本は長方形をした至ってシンプルな角凧。丸竹や割り竹で作った弓のような「うなり」が特徴です。このうなりの目的は音響効果、勇壮な音がもうひとつの特徴である極彩色の武者絵や歌舞伎絵と合わせて江戸凧らしい派手な演出効果を上げるのです。

六角凧

六角形をかたどった凧は、構造もシンプルで安定して飛ばせることから世界中で作られています。そんな六角凧の日本における発祥地は、新潟県の三条市。同地では毎年6月の第1土曜日と翌日の日曜日には「三条凧合戦」(さんじょういかがっせん)が開催されます。相手陣地の凧と糸を絡め合い、落とす、糸を切るなどの攻防が見どころです。また六角凧は海外でも「SANJO ROKKAKU」の名で知られています。

奴凧

時代劇に登場する奴さんが筒袖を着て両腕を伸ばした格好をしたこの凧も、角凧と同様江戸を代表する凧のひとつです。空に上った奴さんが大名屋敷を見下ろすという洒落から江戸の庶民の間でも人気が高かったと伝えられています。

津軽凧

和凧の多くが竹製の骨組みを採用しているのに対し、津軽凧の骨組みは木製。寒冷で竹の育ちにくい青森地方の風土が生んだ地元の文化です。驚くのは畳2枚ほどもあるその大きさ。また、派手な原色で描かれた極彩色の豪傑や武将たちの絵柄からは、ねぷた(ねぶた)を思わせる津軽の勇壮な心意気が伝わってきます。

洋食の名店で凧のお勉強?

東京の中心部、江戸時代から続く下町日本橋に凧だけを集めた博物館があります。江戸凧をはじめ日本全国から集められた約3000件もの和凧を展示するのは、その名も「凧の博物館」。洋食の老舗、日本橋「たいめいけん」5階にあるこの施設は「たいめんけん」の先代社長・茂出木心護氏によって設立された世界唯一の凧専門博物館。見学の後には、伝統のオムライスに名物のボルシチとコールスローをというのもいいですね。

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