日本語は表意文字である漢字と表音文字であるひらがな、そしてカタカナ、さらには数字表記には洋数字と各種の文字を組み合わせた世界でも稀な文字表現を持つ国です。
評論家の養老孟司先生は、日本で吹き出し付きのマンガと言う文化が発展した理由のひとつとしてマンガの絵は表意文字、ふきだしは表音文字と解釈され、この「組み合わせは日本人にとって自然なことだから」という説を唱えています。
欧米人の着ているTシャツなどに首をかしげたくなるよな漢字が使われていることがありますが、あれは彼らが漢字を文字ではなく絵やアイコンとして認識しているからだそうです。そんな勘違い的Tシャツもマンガやアニメ文化の浸透で大きく変化してくるかも知れませんね。それはそれでちょっと残念な気もしますが、お互いの文化交流としてはいいことかもです。
日本人の知識欲を刺激した印刷の登場
文字と文化といえば忘れてならないのが、印刷という技術の発達。明治時代に洋式活版印刷が導入され、その後1924年には日本語写真植字機も誕生。私たちが普段目にする書体も次々と発表されるようになりました。もともと識字率が高かったこともあり、いろんな本や新聞など活字に触れる機会が増えるに従って知識欲旺盛な日本人の文化程度は飛躍的に向上していったのです。
さらに昭和から平成にかけてコンピュータやワープロ、デジタルプリンティングなどの発達により、現在のようなコンピュータフォントが主流となりました。
さて、だれもがパソコンやスマホなどを使うようになり、活字離れが増加しているという説もあるそうですが、ある調査によれば新聞や雑誌など紙媒体に接することこそ少なくなっていますが、ディスプレイなどを通して活字を目にする、つまり文章を読む機会は以前より増えているのだそうです。そういえばプロ野球のドラフトで話題を呼んだ根尾選手は、新聞はもちろん、年間100冊以上もの書籍を読む大変な読書家なのだとか。若い世代にも読書好きな日本人の伝統はちゃんと受け継がれているようですね。
書体・フォントの世界を見に行こう
この様に文字を通して様々な世界に親しみ、文化を発達させてきた日本。そのベースとなった文字や書体、フォントの歴史を学べるのが大阪にある株式会社モリサワのショールーム「MORISAWA SQUAR」です。モリサワと言えば新ゴ・リュウミンフォントなど多彩なフォントを提供している会社。その本社ビル5階にある「MORISAWA SQUAR」はモリサワの歴史とフォントの流れを知ることができるヒストリーゾーンと「文字と書物」の歴史を知るコレクションゾーンの2つから構成されています。
私たちの文化を育んできた文字、特に日本語の世界を書体という視点から見る経験は、なかなか得難いもの。名前は知らなくとも、誰でもが目にしている書体・フォントの世界を再発見してみてはいかがでしょう。なお、見学には事前にHPの「モリサワの展示ゾーン 見学のお申込み」ページからの予約が必要となっています。お間違いのないように。
「MORISAWA SQUAR」
住所:大阪市浪速区敷津東2-6-25 株式会社モリサワ本社5F
時間:営業日の9:30〜12:00 13:00〜17:00
見学申込:https://www.morisawa.co.jp/support/contact/forms/gallery-tour
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