文化・マナー・習慣

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日本の祭文化によく似合う、団扇ってイイね

2023年10月08日

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古くからの日本の祭りといえば夏や秋に行われるものが多いようですね。お盆などの季節の行事やお米の取り入れの後など、なんとなく一段落がついたところでお祭りタイム。といってしまうと神様に失礼かもしれませんが、そんな感じじゃないでしょうかね。
このゆるさが日本らしいな、なんて思いませんか。
そんな日本の祭り、特に夏祭り風景に似合う小道具といえば、浴衣団扇のゴールデンセット。こちらも、着物&扇子の気取った感じと違いゆるさ全開って感じじゃないですか。夏はそれくらいの開放感がうれしいというものです。
なぜ、この季節に夏の話題を出すの?あ〜ぁやっぱりその意見。出てきちゃいますよね。
じゃあ回答編、団扇はパタパタと風をおこすだけの小道具ではありません。福を呼び込む縁起物のツールでもあるんですよ。

節分は日本各地で福を呼び込む団扇が大活躍

最近ではすっかり恵方巻きを食べる日となってしまった節分ですが、本来は四季の始まりの日の前日のこと。当然、春夏秋冬の四回行われるわけですが、中でも冬の終わりを告げる春の節分が、農耕文化に適した一年の節目として重要視されてきたからです。今のように節分は春分の日の前日となったのは、豆まきなどで邪気を追い払い、清新な春を迎えるための行事だからなのです。
では節分と団扇はというと、その役目は扇ぐことで災いを遠くに祓い、福を招き入れようというわけ。日本各地の節分では、それぞれになかなか個性的な団扇が登場。カタチや使い方は微妙に違っても、春の始まりに邪気を祓い、福を呼び込むために伝われていることに違いはありません。ではそんな節分関連の団扇の話題をいくつか紹介してみましょう。

浅草寺節分会の大団扇は金と礼が表裏一体

何を隠そう江戸で初めて、節分を行事として大々的に行ったのは浅草寺。おなじみの豆まきでは観音さまの前には鬼はいないという前提で「鬼は外」ではなく、「千秋万歳福は内」と発声するのが伝統。節分には「節分・立春札」のお札が配布されていますが、ここで登場するのが表に「金」、裏には「礼」と書かれた大団扇。その昔は高いところから撒かれた御札が平等に行き渡るように、大きな団扇で扇いだとされています。さすがに今は御札を撒いて混乱を誘うようなことはありませんが、歳男の行列には金・礼の大団扇をもつ人の姿があります。

広島住吉神社の節分団扇は畳一畳のビッグサイズ

地元では広島のすみよしさんの愛称で知られてる住吉神社の節分は、他の節分とは大違い。その名も焼嗅がし(やいかがし)神事というこの行事、鰯1000匹の頭を焼いてその匂いで邪気(鬼)を追い払おうというもの。なんとユニークなとも思われますが、この鰯の頭を使うスタイルは、平安時代から続くオーセンティックな魔除けの王道。西日本では、焼嗅がしの他やっかがし、やいくさし、やきさし、とも呼ばれ、今でも節分に鰯を食べる風習が残されているそうです。住吉神社でこの焼嗅がしを行う際、登場するのがほぼ一枚分もある大団扇。鰯の焼ける匂いをその扇ぎパワーで拡散しようという仕組みです。それにしても鰯って‥。もしかしたら、鰯の頭も神頼みってここから来た言葉なんでしょうかね。

太宰府天満宮も日野の高幡不動尊だって

学問の神様「天神さま」で知られる福岡太宰府天満宮。こちらでは災いを祓い福を招き入れる「福うちわ」が授与品として大人気。学問の神様だけに受験生にとっては気になるところですね。さて、節分の縁起物と言えば忘れてならないのが、日野市高幡不動尊の「ほのほうちわ」。厄除けの効ありとされる、炎を描いたこの団扇が授与されるのは、元旦から節分までの間だけ。以上、夏の団扇と一味違う冬の団扇の特集でした。

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