文化・マナー・習慣

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日本文化を育てた豊かな自然  おすすめの日本

2024年10月09日

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四季の国、日本という言葉がある。日本人は気候の変化や農産物、海産物、習慣や行事など、春夏秋冬によって様々な自然との付き合い方を洗練させ、文学や音楽、衣装、踊り、祭りなど文化を育んできた。日本の自然は日本の文化を育てた大きな要因であったのだ。この南北に長い小さな島国(実際はドイツ・イタリアより大きい!)には亜寒帯の北海道から亜熱帯の沖縄まで驚くほどの異なる自然がある。
自然に対する考えは欧米と日本とで大きく異なる。庭園であり、人の手が入った里山の光景であり、生花盆栽などさえにも自然を感じる、それが日本人の自然観だ。日本の文化を知るためには日本の自然に出会い、人々がどのように自然と向き合ってきたかを学ぶ必要がある。今回は、そんな日本流の自然の楽しみ方を紹介してみよう。

緑の向こうに忽然と姿をあらわす大砂漠 鳥取砂丘

まるで海沿いのサハラ砂漠だ。思わずそう声を上げたくなるが、ここは明らかに日本だ。日本海を介して朝鮮半島と向き合う鳥取県にある鳥取砂丘は、温暖湿潤な環境を持ち乾燥地帯でもないのに砂漠が広がる不思議な場所だ。東西16kmと幅広なこの砂の海と、周囲の緑や海が織りなすコントラストは世界でも珍しい見ものだ。なぜこの砂丘ができたかには、陸地へと押し寄せる沿岸流が関係している。川が日本海へと運んだ砂を沿岸流が押し戻し、さらに強風で陸を覆うように広がり砂丘ができたのだという。
またパラグライダー、砂丘登り、サンドボーディングやラクダライディングなどのアクティビティメニューも豊富だ。砂の彫刻「砂像」を展示する『砂の美術館』では毎年のテーマに沿って世界トップレベルの砂像彫刻家が迫力のある作品を展示している。

竹林が物語る幽玄の美 嵯峨野

京都嵯峨野にある竹林の道は、数万本の竹が生い茂る中、約200mに渡って続く細く長い道。人跡未踏後ならいざしらず、大都市圏でこれだけの竹がある場所は世界でも殆どないはずだ。鬱蒼と茂る竹の間から差し込む柔らかな光、風に吹かれてサラサラとなる葉擦れの音。合理的な判断や欧米的価値観とは明らかに違う感性が感じられた。今までまだ見たことも読んだこともない異世界の物語に入り込んだような不思議な感覚にさえとらわれる。また夜のライトアップされた竹林には昼とはまた違った美しさがある。日本人が幽玄の美と呼ぶのはこのことだろうか。
東京周辺で竹林をという人には鎌倉にある報国寺へ行ってみることを勧めたい。こちらでは竹林を眺めながら抹茶のセレモニーを楽しむこともできる。

長野県の温泉ザルに会いにいく

年間降雨量の多い日本は地下水も豊富な水の国である。そこに火山国というもう一つの特徴がプラスされるとどうなるだろう。温泉の楽しみを総合的な文化にまで磨き上げたのは日本人くらいのものだろう。しかし、この国では温泉文化も人間だけのものではない。最近の調査で日本屈指の長寿エリアとして知られるようになった長野県地獄谷野猿公苑では、世にも珍しい温泉を楽しむサル(ニホンザル)たちに出会える。真冬には最低気温がマイナス10℃を下回るという寒さの中、サルたちが気持ちよさそうに露天風呂に浸かっている光景は珍奇を通り越してシュールでもある。大勢の日本人や海外からの旅行客がシャッターを切る中、平然と温泉を楽しむサルたちを見ていると「ひょっとして彼らは人間が仮装しているのでは」とさえ思えてくる。こんな体験は日本以外では決してできないものだ。
有名な北海道富良野のラベンダー畑、春の日本列島を北上していく桜、福島県新潟県群馬県にまたがる尾瀬の湿原、茨城県ひたち海浜公園のネモフィラの群生など見るべき日本の自然はまだまだある。

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