日本を東西に分け、文化の違いを説明するケースが多々ある。その時、指標となるものは電気の周波数、うどんかそばか、牛肉対豚肉など様々だ。中には目玉焼きにかける調味料で東西の文化を語るケースもある。新年に欠かせない正月魚もその一つだ。東日本を新巻鮭に代表される鮭文化圏とするなら、西日本の正月を祝う魚は出世魚の鰤だ。この鰤という魚、成長過程だけでなく地域によっても異名を持つ。特に富山湾で水揚げされた鰤は越中ぶりと呼ばれる最高級ブランド。これが飛騨高山、野麦峠を超え飛騨ぶりと名を変えて信州へと伝えられる。その山道を鰤街道と呼んだ。福井と京都を結ぶ鯖街道と同様、日本海と海を持たない内陸の街を結ぶその道は人が行き交う文化の道でもあった。富山の浜でのレートが米1斗ブリ1本であった当時、鰤街道を越え信州・松本に運ばれた際には米1俵ブリ1本になったと伝えられている。 文化は物資とともに行き交う人々のもたらす情報を呼吸しながら成熟していく、海と山、東と西、異なる文化の出会いが新しい交流を、未知なる文化を育てるのだ。 物流の発達した現在でも、信州人の多くは「鰤がないと正月が迎えられない」とことさらにその食文化を珍重する。 正月の膳には長野県の松本平から木曾川筋を境に,北東部では鮭を,南西部では鰤を用いるという。エリア的には東日本とも思える信州だが、そこには西日本文化圏の影響が色濃く投影されているのだ。
鰤街道の起点、富山で楽しみたい名産の数々日本海
さて改めて美味なる鰤のふるさと富山の名産ベスト7をランキングで紹介してみよう。
第1位 鰤
富山湾の鰤、ことに冬の訪れとともに北の海からやってくる寒鰤は、脂が乗り、身が鍛えられた美味。10kgにもなる魚体は、刺身はもちろん、ブリ大根やブリしゃぶなど、富山弁で新鮮さを表すキトキト(いきとういきとう)の味が楽しめます。
第2位 ベニズワイガニ
鰤と並ぶ日本海の冬の味覚の代表。深海の住人であるベニズワイガニは、肉厚で身離れもよく、甲羅の味噌がまたとろけるように美味しい。北アルプスから流れ落ちる滋味豊かな水と富山湾のプランクトンを糧とし、芳醇で栄養価の高い食材でもある。
第3位 白エビ
富山湾の宝石と讃えられる透き通ったその身は気品すら感じさせる美しさ。漁業として成り立つほど白エビが獲れるのは富山湾だけと言われる貴重な味覚でもある。口の中で甘くとろける刺身は、富山ならではの極上の味わいだ。
第4位 ホタルイカ
青白い幻想的な光を放つことから「富山湾の神秘」と呼ばれているホタルイカ。儚げにもみえる発光の美しさは、春を伝える富山の風物詩でもある。沸騰した湯の中で丸ごと茹であげ「釜あげ」の自然な甘さには命そのものを味わう感さえある。
第5位 かぶら寿し
2kg以上にも育つ大きなカブの輪切りに鰤、鯖、鮭などの切り身を挟み麹で漬け込んだ「かぶら寿し」。脂ののった魚の旨味とカブのシャキッとした食感に麹の酸味が調和したその味は飯の友に酒のアテに絶品である。
第6位 ますの寿司
富山土産の定番として知られるますの寿司は県認定の「富山県推奨とやまブランド」。 昔ながらの竹の曲げ物の器に入れられ笹に包まれた美しい薄紅色のますは、八代将軍、徳川吉宗にも愛された故事を持つ伝統の富山名産だ。
第7位 かまぼこ
富山のかまぼこは「板」がないのがひとつの特長。地の海で採れた魚をすり身にし昆布で巻いた「昆布巻きかまぼこ」や鯛などをかたどった「細工かまぼこ」がある。特に細工かまぼこ」は、婚礼の引出物など祝いの席でも用いられる縁起物だ。
まとめ
富山の名産を数え上げるとはからずも海の幸が過半を占める結果となってしまった。それほどに富山湾の恩恵は大きいというそれもまた富山の名産を物語る結果だろう。
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