日本の食文化がネットや旅行を介して広まることによって、海外でもたくさんの日本食が親しまれるようになっています。そんな海外で広まる日本食の中で、外国で流行の兆しを見せているのが日本のスイーツ「和菓子」です。なぜ日本のスイーツ「和菓子」の価値が外国の人たちに見直されているのか、現状の海外の反応を含めて紹介します。
昔の反応はあまりよくなかった
和菓子に関する見方は、昔と現在では全く違うようになっています。昔の和菓子がどんな風にみられていたのかといえば、ほぼ多くの外国人が和菓子に対してよい印象を持っていなかったのが多数です。
昔の反応
「豆を甘くして食べることが気持ち悪い」
「濃厚な甘さに慣れているので、日本の和菓子は物足りない」
外国のお菓子といえば小麦粉と砂糖そして生クリームやバターなどの乳製品を使い、飾りとして生の果物もしくは保存用のドライフルーツを使って作ります。その点日本の和菓子は粉類とイモ類、そして小豆や白いんげんなどの豆類を使って作るのが特徴です。そのため外国人からすれば、豆を甘くして食べるという文化がなかったため敬遠されていたわけです。
流れが変わったのが日本のアニメがきっかけになった
当初は敬遠されていた和菓子ですが、時代が進んで日本食が広まるにつれて和菓子も注目されるようになります。なぜ注目されるようになったのかというと、そのきっかけになったのが日本のアニメです。貿易の緩和によって多くの文化が日本から発信された中で、娯楽の一環として日本の漫画が輸出されるようになります。その漫画のクオリティに感動した外国の人々が、今度はアニメにも注目するようになります。
当初はロボットアニメやバトルアニメが主流でしたが、その後漫画文化がより定着することでバラエティ系アニメや恋愛系アニメなど幅広く放映されるようになります。そのバラエティ系アニメや恋愛系アニメといった作品の中に、外国人にとって気になるものが移ります。それは登場人物たちが食べていたタイ焼きなどのお菓子であり、母国にはない不思議な食べ物に興味を持つ人が増えたわけです。
見慣れない食べ物に興味を持ち、それをネットや雑誌などで調べたことによって和菓子が一気に広まることになります。アニメキャラが食べていたものが実在するというのは、外国人にとって和菓子に注目するきっかけとなったのがその後の和菓子ブームにつながったわけです。
健康志向の高まりで見直されることになる
アニメで興味を持った人たちが、その後、別の観点で注目するようになったのです。それが世界規模で共通意識として広まるようになった、「健康志向」が関係しています。戦争後に、各国との貿易が盛んになり多くの食材が流通するようになりました。貿易が盛んになることはよいことなのですが、この貿易により数多くの食材が安定して手に入ることで問題となったのが「肥満」です。
肥満は血管に脂肪が蓄積をすることで動脈硬化など生活習慣病を引き起こすことになり、最悪の場合は命にかかわる病気を引き起こすことになります。特にヨーロッパやアメリカなどの欧米では、食べられるときに食べたほうが良いという風習があり間食をなどもすることで肥満になる人が増加してしまいます。実際にヨーロッパでは肥満による健康被害を抑えるために、ポテトチップスなどの油が多いお菓子には税金を重くすることで抑制している国もあるわけです。肥満はだめだとわかっていても、これまで甘いものを食べることに慣れていた人がいきなり食べるのをやめるのは難しいです。そこで、注目されたのが、罪悪感がなく体への影響が少ない日本の和菓子でした。
日本の和菓子の材料をもう一度おさらいすると、イモ類ともち米や葛といったでんぷん質そして豆でつくった餡で作ります。これらの味付けで甘みをつけるために砂糖を使いますが、その量は外国のお菓子に比べて圧倒的に少ないのです。外国のお菓子は砂糖だけでなく、小麦粉や動物性のクリームなど脂肪分が多いものを使うので肥満になりやすいです。現在ではフルーツ大福のように動物性のクリームを使うメニューもありますが、それでも素材の味を重視して作る和菓子は、洋菓子に比べてカロリーが低いです。
甘いものを食べたいけど肥満になりたくないという外国人が増えたことで、日本の和菓子はそのニーズに合っていることもあり、一気に人気を集めることになったのです。実際に日本に来た外国人の多くの反応として、「最初は甘い豆を食べることに対してマイナスイメージがあったけれど、日本に来た時には率先して食べるようになった」や「母国で日本の和菓子が買えるようになってきており、日本で食べたお菓子の味が忘れられないのでよく買って帰る」など良い反応がたくさん聞かれるようになりました。
日本の和菓子が注目されるようになった背景として健康志向の高まりが関係していますが、もうひとつ忘れてはいけないのが「菜食主義」の存在です。菜食主義はお肉を食べない代わりに、タンパク質は豆類やイモ類で取るようにしてそのほかの栄養素はすべて野菜だけで摂取することを目的とした食文化になります。菜食主義はイスラムやヒンドゥーなど宗教が関係していることで、お肉を食べないのが一般ですが、現在では免疫力向上や肥満改善など体調の改善を目的に始める人が増えているのです。そんな菜食主義を実施している人でも、やはり疲れを癒すために甘いものを欲っしてしまうこともあります。そういう場合でも、日本の和菓子には、宗教で禁じられている食材が全く使われていないため、安心して食べられることも注目されています。
見た目と味の向上も著しい
日本の和菓子が注目されるようになったのは健康志向が要因ですが、それと同時に日本人特有の研鑽の心が導いたことも大きいです。常に材料の品質から考慮し、伝統の和菓子を見た目は変わらなくても味の質を常に上げてきたことが外国人に受け入れられた理由といえます。そして味だけでなく、ネットで写真をアップロードするということに着目して、見た目も向上させたことも大きいでしょう。
この記事に関するキーワード
関連記事