写経をご存知ですか?写経とは、御経を書き写すことです。日本では、はるか昔673年より写経が始まったと言われています。写経が始まった当時と今では写経をする理由が異なりながらも、現在に受け継がれている日本文化です。
なぜ、写経をするようになったの?という歴史的な観点からご説明し、最後には写経体験ができるオススメの場所についてもご紹介していきます。
写経の歴史、なぜ写経をするようになったの?
写経とは、御経・経典を書き写すことです。今となっては、写経をすることによって功徳が得られると言われたり、頭の中を無にして精神統一できると言われたり、このような理由から写経を行う人が増えています。
しかし、日本で写経が始まった673年では、今とは全く異なった理由で写経が行われていました。それは、“仏教を広めるため”です。当時は、印刷技術がないため、複写するには手で書く以外に方法がありませんでした。写経が始まったのは、これがきっかけと言われています。
写経生と呼ばれる人たちが毎日写経を書き上げ、これに対してお給料も発生していました。そのため、当時の写経は、仕事であったと考えてもいいでしょう。誤字脱字があれば罰金を徴収され、とても厳しい仕事だったことが伺えます。
このように写経は仏教を広めることを目的に行われてきましたが、仏教の一派である大乗仏教の経典“法華経(ほけきょう)”には、写経を行うことにより死後成仏できるようになるなど、功徳の意もあると書かれたことから、現在の写経に繋がる意義が生まれました。
写経体験をすることのメリット・効果
写経の文化は今現在も受け継がれており、写経体験できるお寺も数多く存在しています。写経を行うことのメリットはいくつかありますが、一番大きなメリットは、心のリラックスだと言われています。
忙しい日常から開放されて静かなお寺で写経をすることはリラックスに繋がり、外国人観光客だけでなく日本人の体験者もとても多いです。お寺の周りは自然豊かなことが多く、日頃オフィスビル街で働く人たちにとっては、非日常的な時間を味わうことができます。
なかには、「字が下手だから…」と敬遠するひともいますが、字の上手い下手は関係ありません。疲れたな、リフレッシュしたいなと思う人は、ぜひ写経体験してみては如何でしょうか?
自宅で写経をやってみよう
写経というと、ハードルが高く感じる方もいらっしゃるようですが、自宅でも簡単に始められます。
写経に必要な道具
必要な道具は、まずお経を書くための筆、硯、墨、文鎮です。また、お経を書くための和紙、続いて書き写すお経です。お経はネット上にあるものなどでも結構ですが、お勧めは手軽な長さの般若心経です。
写経のやり方
では、実際に写経を行ってみましょう。ここではあえて細かい作法などをあげていきますが、自分に出来る範囲で大丈夫です。
- 01.部屋を掃除し、手を洗う。口をすすぐなど、身を清める
- 02.硯に水を灌ぐ
- 03.手を合わせ、書き写すお経を唱える
- 04.表題から書き始める
- 05.本文を書き写します。なお、この際、1行は17文字で揃えるようにするのが正しいルールとされています。
- 06.終わりに、「願文(がんもん)」を記入します。
- 07.名前を書き、末尾に「謹写」と記します。
- 08.手お合わせ、お経をとなえ、一礼します。
- 09.硯と筆を綺麗にし保管しまs。
- 10.書き写したお経は、箱にいれるか、お寺に奉納するか、または仏壇に供えます。
以上が簡単な写経のやり方です。ただし、作法などは宗派によっても違いがあります。あくまでも基本的なルールとして覚えておいて下さい。
京都“三千院”で写経体験をしませんか?
写経体験ができるオススメのお寺は、京都にある三千院です。三千院は1,200年の歴史のあるお寺で、自然に囲まれたとてもよい場所です。京都駅から少し距離がありますが、京都へ遊びに来た際は、少し足を伸ばして行ってみることをオススメします。
体験時間は約60分で、般若心経を書き写します。体験料金は、奉納料として1,000円。予約はFAXで受け付けています。
はるか昔、写経生が朝から晩まで写経していたことを想像しながら写経体験を行うと、より一層楽しく体験ができそうですね。
Data
天台宗 京都大原三千院
■電話 075-744-2531
■住所 〒601-1242 京都市左京区大原来迎院町540
■拝観時間
3月~12月7日 8:30~17:00 (閉門17:30)
12月8日~2月 9:00~16:30 (閉門17:00)
■拝観料 一般 700円(団体30名以上600円) 中学生・高校生 400円(団体30名以上300円) 小学生 150円
■定休日 無休
http://sanzenin.or.jp/
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