日本にはユネスコの世界遺産に登録されている文化遺産や自然遺産が数多くあります。世界共有の遺産として大切にされているこれらの地域にの中には、映画やドラマなどのロケ地として、一度は目にした機会がある場所も少なくありません。今回は、心に残るあの名作の舞台として知られる屋久島をはじめ、世界的に大人気のアニメや映画でも話題となった島々やNHKの大河ドラマゆかりの場所などを紹介してみましょう。
世界遺産の島「屋久島」で、もののけ姫の世界を体験
東京23区と同じ程度の大きさの島に亜熱帯から亜寒帯まで多彩な植物が生い茂る不思議の島「屋久島」。ここを舞台としているのはジブリの名作「もののけ姫」です。
“ここがそうだ”と明言こそされていませんが、宮崎駿監督が屋久島にある太古の森「白谷雲水峡」へ何度も足を運び、舞台となる森のイメージをつくりあげたのは、アニメファンあるあるとしてよく耳にするお話です。その証拠に以前は「もののけ姫の森」と呼んでいたそうです。大人の事情により今は「苔むす森」の愛称で呼ばれるていますが、現地の風景はモロの君や乙事主が今にも現れそうなイメージそのまま。また辻峠の近くにある辻の岩屋や太鼓岩は、モロ一族の住む岩屋のモデルともされています。
そんなアニメの感動をリピートさせる「白谷雲水峡」は面積423.73ヘクタールの広大な自然休養林。推定樹齢3000年の弥生杉、奉行杉、七本杉などの見事な屋久杉林やイスノキ、ウラジロガシ、タブノキなどの照葉樹林など他では見ることのできない大木群が訪れる人を幻想の世界へと誘います。
巨人に破壊された廃墟? いやいや、そうじゃなくて
この島を見た瞬間ロケハンスタッフもここだ!って思ったこと間違いなし。実写版「進撃の巨人」のロケ地としてあまりにも有名なのがこの島、軍艦島です。正式な名称は端島ですが、島まるごとが炭鉱で、従業員用の高層アパートの立ち並ぶ光景が軍艦に似ていることからこう呼ばれるようになりました。軍艦島は東京ドームモジュールで1.3倍ほどの狭小環境。最盛期には、5300人ほどが暮らし、その人口密度は東京都区部の9倍、もちろん世界一の過密都市だったそうです。人だけではありません、公園、神社、お寺、警察などの施設から、映画館や商店街、パチンコ屋などの生活娯楽施設まであったというのですから、過密ぶりも世界遺産レベルですね。
軍艦島は進撃の巨人の他にも映画や多くのアーティストのMVやドラマなど、映像クリエイティブ関係からの人気絶大。海外からも注目され2012年公開の映画「007スカイフォール」に登場する廃墟の島「デッド・シティ」のモデルともなりました。軍艦島の観光については、環境保全のため勝手に上陸することはできませんが、現在長崎市にあるやまさ海運、軍艦島クルーズ、軍艦島コンシェルジュ、シーマン商会、馬場広徳の各ツアー会社による軍艦島上陸ツアーが催行されています。
るろうに剣心のあのシーンはここで撮影されました
軍艦島以外の明治日本の産業革命遺産もロケ地となっています。そのひとつが熊本県の万田坑。こちらも軍艦島同様、炭鉱で国内最大規模の竪坑として日本の近代化を支えたことで知られています。ここでロケが行われたのは、「るろうに剣心 京都大火編」。映画では、斉藤一率いる警察隊が、志々雄真実一味のアジトに攻め込むシーンのあのトンネルといえばわかりますよね。
鹿児島にある明治日本の産業革命遺産「尚古集成館尚古集成館」を訪れるなら、ぜひ隣接する世界遺産の構成資産である「仙巌園(せんがんえん)」へ。薩摩藩藩主・島津光久によって造園されたこの名園も日本を代表するロケスポット。NHKの大河ドラマ「西郷どん」「篤姫」など幕末から明治を描いた作品群がこの地で撮影されました。桜島を望む景色はまさに大河ドラマにふさわしい見事な景色です。またこの「仙巌園」でもうひとつ話題となっているのが、日本で唯一の猫を祀っている猫神神社。映画・ドラマ好きだけでなく、猫好きにもうれしいスポットなのです。
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