文化・マナー・習慣

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世界の中の日本文化。その特徴をレポートしてみた

2023年10月21日

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文化や文明はシルクロードや塩の道といった交易ルートを媒介に互いに影響を及ぼしながら人類に発展という未来に貢献してきました。このように地理的な条件と文化の成り立ちには密接な関係があります。大陸から離れた島国という立地を得て、他の国々とは少々異なる独自の文化を育ててきた日本。その文化的な特徴はどんなところにあるのでしょう。

日本の文化とアップル的発想

上智大学教授、イェール大学講師、ブラウン大学講師、ベルリン自由大学およびミュンヘン大学客員教授、ブリティッシュコロンビア大学教授など教育者として国際的な評価を受け、評論家で医学博士でもあった加藤周一は、その著書の中で日本文化の雑種性に着目しています。例えば東京という都市。「都市計画の全く無い」東京が、封建時代から現代まで、雑多な時代の感性や外国から導入された理念や技術を取り込んで同心円を描くようにどんどん広がった結果としての機能性や美しさを実現し得ていると見ていたのです。既存のAに以前からある別のBを上手に組み合わせることでまったく新しい価値を創造するそれが日本的文化だとしたら、よく似たある企業のプロダクツに思い至りました。
APPLEのスティーブ・ジョブズが世界に送り出したiphoneです。電話の持つ通話機能とPDAが持つ極小コンピュータ機能をデータ通信で強化したこのプロダクツは、画期的ではあっても、既存の技術を上手に組み合わせた産物。いえそれどころか以前に似たような機能を持つBlackBerryがありさらに前にはIBMのSimonがありました。
ではなぜiphoneは革命的なまでに世の中に受け入れられたのでしょう。iPhoneが行ったただ一つのこと。それはデザインを含めた先進的なハードウェアとクオリティに特化したOSをハイレベルで組み合わせ、人々が欲しがるインターフェイスの実現。初代iPhoneに搭載されたマルチタッチ式インターフェイスは感覚的な操作で、誰にでも使える便利道具としての価値を広げたのです。しかし、この操作方法さえ既存技術の応用に過ぎません。「目のつけどころがシャープでしょ」という日本企業のキャッチコピーがありましたが、iphone開発のこの経緯、日本が得意とする雑種性の文化と同じではないですか。

洗練という技術の先にあるもの

日本人の特性のひとつに研究熱心という点があげられると思います。一度形を作ってよしとするのではなく、どこに手を入れたらよりきれいになるのか、どうしたらもっと使いやすくなるのかと考える探究心は何に所以するものなのでしょう。そのヒントは日本を巡る海という障壁。交流を制限されている以上、外から入ってくるものを待つのではなく、自分たちで工夫するしかなかったのです。種子島と呼ばれた鉄砲にその好例を見ることができます。1543年ポルトガル人によって鉄砲が伝えられてからわずか27年後の1570年の石山合戦では3000丁もの鉄砲が使われたとされています。鉄砲の生産は雑賀根来国友などの刀鍛冶によって行われましたが、当時国友村には鉄砲鍛冶73軒、鉄匠が500人余と高度の生産能力を誇っていたとされています。近年の例ではガラパゴス携帯と言われた日本特有のフィーチャーフォンにも同じことがいえます。もしiphoneの登場がなければ日本のフィーチャーフォンが世界の標準となっていた可能性さえあるという人もいるほどです。
茶道雅楽など日本独自の芸能文化も島国のマイナス面を利に変えて磨き上げた結果といえます。その根底にあるのは洗練ではないでしょうか。茶道の世界では侘び寂びと表されるようにシンプルな中にも、飾らない美しさを追求する考えがあります。また茶道を始めとする芸の世界でいう守破離は、基本を守る、独自の表現ができる、全く新しい世界を開けるといった修行の段階を表す言葉。それは既存の技術を学ぶ、アレンジする、新しい価値を生み出すといった日本文化の自由な感性に共通するものです。1+1を2に留めることなく、新しい価値として創造するハイブリッドの文化が他にはない日本独自の様式や美しさを持つ世界を切り開いていったのです。

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