洋画のオープニングロゴを見て、あることに気付きました。そこに表示された世界地図には大西洋を真ん中に右にヨーロッパとアフリカ、左に南北アメリカ。アジアやオーストラリアは無視です。なんとなくわかってはいましたが、欧米人のグローバルってこれなんですかね。マスコミはオリンピックや万博で、日本ブームに湧く世界なんて騒いでますけど、本当のところはどうなんでしょう。
一部の日本ファンを除けば“日本は遠い東のハズレの小さな国”これが一欧米人の認識です。その証拠に、ヨーロッパ地図に日本を重ねたマップを見せると、驚きの声が上がります。ヨーロッパ人の感覚ではオランダやベルギー、せいぜい広くてデンマーク程度の大きさの国と思っているのでしょう。アメリカ人も同じことです。「ハワイと日本じゃどっちが大きいんだい」なんて質問は珍しくもありません。まぁ確かにアラスカを抜きにしても、テキサスやカリフォルニア、モンタナなど日本より大きな州もありますからね。彼らの感覚もわからないではありません。
日本とは思ってなくとも、とにかく日本文化は受け入れられている
ただ矛盾するように聞こえますが、日本の文化は世界で高い評価を得ています。安定のラインナップではありますがsushi、ramen、sukiyaki、ninja、karate、toyota、sony、kyoto、tokyo…etc。どうしてアルファベットで書くのっていいますか。それはですね今挙げたいくつかの文化や企業、都市名などは広く知られているし、日本製品も持ってる、興味もある。でも、それがfrom日本とは認識していない人が多いという事実があるからです。日本は中国の一部と思っているアメリカ人、ざらにいます。
考え方を変えれば、これ日本の文化がグローバルな存在になったという証拠でもあるのです。そんなカオスのなか注目されているのが毎年3月にアメリカ合衆国テキサス州オースティンで行なわれるサウス・バイ・サウスウエスト(略称SXSW)というフェスティバル。もともとは音楽系のイベントでしたが、現在ではミュージック、フィルム、インタラクティブとコンテンツを広げ、2019年時点では新しい事業アイデアや創造的な技術を持つ新興企業が展示会、講演会、パーティー、新興企業コンテストなどが開催する大規模な国際イベントです。
文化は発酵だ SXSW2019で日本の見方はどう変わるのか
このSXSW2019で日本が経産省、企業、アーティスト、学術関係者、文化人が一体となって未来ビジョンと未来の風景を模索し発信するプロジェクトと、総力的にぶち上げたのが3月9日から11日までの期間で設営された日本館「The New Japan Islands」。日本独自の文化や世界観をもとに、新たな原風景を創出していく、海外に向けた独自視点のビジョン発信です。その中心として統括ディレクターを務めたのがメディアアーティストの落合陽一氏。テーマは「日本ならではの旅籠屋を持ってくること」。う〜んなんだか斬新です。西洋における公共空間と異なる、プライベートな空間との間に位置する日本ならではのセミパブリックスペースをオースティンの街中に持ち込むのが狙いだとか。旅籠ですから日本館に訪れた来場者は靴を脱いで畳に上がります。するとそこはどこか懐かしのお茶の間的光景に現代のデジタル日本が雑多に組み込まれた異空間。天井の逆さ富士やなぜか土偶、ガチャガチャがあったり、デジタルパチンコ、ゲーム、カラオケもできる、お坊さんもいたり、こたつに足を突っ込んで落合氏とロボット研究者の石黒浩氏がトークをくり広げるなど、まさになんでもありのカオス。コンセプトは「デジタル発酵する風景」。通常のイベント展示はきちんと整理、区分けされて、結論がわかりやすく提示されていますが、これは製品以前に必要な発酵という過程をそのまま見せているわけですかね。結果ではなく成り立ち、プロセスの提示。あっなるほどねと思えなくもありません。そこのところを共有することで日本という文化のあり方を理解する、そんなところなのでしょうか。「あっ日本ってこういう発想から新しいモノを生み出す国なんだ」そんな認識が世界的に広まれば、またひとつ日本というブランドがアップデートされるのかもしれませんね。
このSXSW2019にはソニー、NEC、シチズン、OUTSENSEの各企業も出展しています。
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