日本のアニメ作品は海外でも認められ、多くのファンを獲得し「ジャパニメーション」と称されるほか、「anime」という言葉がひとつのジャンルとして確立されました。
海外では定期的に「JAPAN EXPO」が開催され、多くのファンが訪れます。それと並行して、作品と同じ衣装を身に纏うコスプレイヤーも増えています。
ではなぜ日本のアニメはこれ程までに人気を得たのでしょうか。
日本のアニメは大人も楽しめる作品が多い
海外アニメのほとんどは、子供向けもしくは親子で楽しめるよう低年齢層をターゲットにしています。ストーリーは小さな子供でも理解できるよう単純で、描写も配慮された健全なものですから安心して観られますが、大人には物足りない内容です。
一方のジャパニメーションは、漫画を読んで育った世代にも漫画雑誌を買ってもらえるよう、成人向けの漫画が増えたことで「大人も楽しめるアニメ」という新しいジャンルが生まれました。
子供向けに制作されている作品はもちろん、最初からターゲットを大人に絞っているものも珍しくありません。例えば「機動戦士ガンダム」は、モビルスーツの登場で一見ロボットアニメの流れを汲んでいるように見えますが、実際は人間や国家の争いを描いており、小さな子どもが理解するには難しいストーリーです。 ジャパニメーションは深夜の時間帯でテレビ放送されることも多く、明確に大人をターゲットにしていることがわかります。
他にもジブリ作品のように、芯となるテーマを持たせることで、子供から大人まで全世代が楽しめるよう作られている作品もあり、世界的に受け入れられたことでアカデミー賞の長編アニメ映画賞を取ることができたのです。
ハッピーエンドとバッドエンドの混在
海外の創作作品は、アニメに限らずハッピーエンドが主流です。主人公が途中で挫折したとしても、最後には必ず悪を倒し世界平和が訪れます。
これはハッピーエンドにした方が商業的に成功するためで、必然的に視聴者もハッピーエンドを望んでいることになります。商業的な成功は続作の制作にも影響するため、当然ながら大団円を迎える内容が増えますが、ある程度展開の予測がついてしまいます。
一方日本のアニメは、海外ほどすべてがハッピーエンドで終わるというわけではありません。特に「儚さ」は悲しみや憂いを生み、見終わったあとに残るモヤモヤ感が、時に日本人をハッピーエンド以上に感動させることもあるのです。
日本で最初のアニメとして放送された「鉄腕アトム」のように、最終話で主人公が死んでしまうものも存在します。
このような展開は外国のアニメにはほとんどないため、自国作品では経験できない想定外のストーリーに驚愕し、ジャパニメーションのファンとなる人が少なくありません。
絵柄やストーリーのクオリティの高さ
日本の作品がクオリティを維持しているのは、積極的かつ綿密なロケハンや、海外への販路の拡大が理由です。海外への作品の輸出は、少なからず製作者に対するリターンを増やすこととなり、モチベーションやクオリティの維持へと繋がることになりました。
ストーリーに関しては、海外の作品は子供向けが多いという理由もありますが、単純に人々の日常や恋愛を描くだけでなく、人間の本質や生と死、戦争など海外のアニメでは題材にしづらいテーマを描くなど、大人をも唸らせるような重厚なストーリー展開はジャパニメーションならではと言えるかもしれません。
まとめ~日本のアニメはまだまだ負けていない~
以上のような理由で、ジャパニメーションは国内のみならず、世界中の人々から支持されるコンテンツとなりました。しかし大きな市場を形成したことで、今後は海外でも優秀な大人向け作品が制作されていくでしょう。
とはいえ日本でも毎年のように新しい作品やクリエイターが生み出されていますから、日本もまだまだ負けていません。
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