海外ではハラキリと言われ有名な切腹。実は切腹にも細かいルールがあるのはご存知でしょうか。今日はそんな切腹について説明したいと思います。
切腹とは
切腹とは文字通り腹を切ること。大変物騒な習慣ですが、果たしてこのように物騒な習慣はどのようにして始まったのか。これには諸説ありますが、一番有名なのは、新渡戸稲造が「武士道」の中で、人間の魂は腹部に宿っており、腹を切ることが武士道を貫くことと記したことが切腹の起源と言われています。
切腹の種類
そんな切腹ですが実は様々な種類があります。主君に殉じての切腹を「追腹」、責任や義理を通すために行わるのが、「詰腹」、意にそぐわない無念の切腹を「無念腹」、また遺恨の相手の腹を切る行為を「指腹」と言ったりします。
切腹に使われる刀
さて、そんな切腹なのですが、切腹に使われる刀の種類はご存知でしょうか。時代劇などでは、武士が大小の刀を差しているのは見たことがあると思いますが、多くの方はこの小さい刀の脇差が使われると考えているかもしれません。
しかし、実は切腹に使われるのは、これより短い短刀という刀です。そもそも、刀には大きく分けて3つの種類があります。大刀(刃渡り60センチ以上)、脇差(60センチ以下で30センチ以短刀(30センチ以下)と3種類あり、切腹には短刀が用いられます。
自分の腹を切るとなると、なかなか長い刀では取り回しが大変ですので、短刀が切腹には適しているというわけですね。 ちなみに、現代では相撲の行司が刀を差しておりますが、こちらも短刀となります。
切腹の作法
江戸時代までは、突発的に行われていた切腹ですが、江戸時代より、武士への刑罰としての切腹が確立され、切腹にも作法が生まれました。切腹する人を切腹人といい、切腹人の首を切り落とすなど、切腹を手伝う介錯人という役割が生まれました。
切腹は、以下のような作法で行われたと言います。
➀切腹を命じられると、切腹人は沐浴し身を清めます。
➁髪を結い、曲げ方を逆に、浅黄色の裃を左前にして身に着けます。
➂切腹場にて、北面で座り、湯漬けなどの善と酒を最後の食事としてたしなみます。
④短刀が三方に載せられ切腹人の前に差し出されます。
⑤介錯人は切腹人に名を名乗り、背後に回ります。
⑥切腹人は、右から肌脱ぎとなり、左手で腹を押すように撫で、手にした短刀を左腹に突き立て、右へ引きまわります。ここで介錯人が首の皮1枚を残して切ります。
なんだか聞くだけでお腹が痛くなりそうですが、実際に切腹はかなりの苦痛を伴うものです。そのために、切腹する人の苦しみを和らげるよう、介錯人が首を切ります。 また、切腹後はうつ伏せになるのが武士としての名誉とされました。
そのため、首の皮1枚を残して着るのが重要だったそうですが、これがまた難しく、介錯人には相当な腕前が要求されたそうです。
また、江戸時代中期からは切腹のマナーを知らないといった武士も増え、切腹自体のやばんさもあって、短刀の変わりに扇子を用い、切腹人が扇子をとったら介錯をするといった方法もあったそうです。
切腹は、武士道という文化が生まれた日本の風習といえるでしょう。
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