文化・マナー・習慣

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不思議の国、日本の文化と行事 行司の刀は脇差?小刀?

2019年03月30日

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行事と行司ってシャレみたいですけど、書いてる本人いたってマジメに考えてます。聞いたことはあるけど、本当はどんなもの?ということはよくありますよね。お相撲の行司さんが腰に差しているあの小さな刀もそのひとつ。脇差(わきざし)と言ったり、小刀(しょうとう)と呼んだり、また無しの場合には短刀懐剣(かいけん)、護り刀(まもりがたな)などと呼び方も変わります。この短めの刀ですが、もともとは普通の刀(本差)が折れたり、手元にない時のための予備の武器。それが大刀に対して小刀とも呼ばたり、大刀の脇に差す刀だから脇差となったりしたというのが由来らしいのです。

※現在は刃渡り60㎝以上のものを刀、30㎝以上60㎝以下のものを脇差、30㎝以下のものを短刀と呼んで区別しています。

大刀の脇に差す刀だから脇差

あぁ見えてやるときゃやるよの五人囃子

それにしてもなぜ行司さんが刀をというと、その理由はちょっと恐ろしい。あれは差し違え(ミスジャッジ)が有ったときにはその場で切腹する覚悟を示すもの。つまり、それほど一生懸命に審判をしていますよという意思表示をカタチにしたものなのです。因みにあの刀には鍔がないので正しくは小刀、脇差ではありません。日本相撲協会によれば差し違えが理由で辞めた人はいても、さすがに切腹をした行司さんの記録は残っていないようです。
さて、この小ぶりな刀たちは、相撲だけでなく色々な行事のなかでもよく見かける日本伝統のセレモニーアイテムです。例えば雛人形五人囃子。それぞれ違う楽器をもっていますが、よく見るとみんな腰に小さな刀を差しています。優しげな顔をしてなかなかの武闘派ミュージシャンだったのですね。
また昔の武士階級の女性は外出時に身を護る武器として懐剣を持ち歩くこともあったそうです。う〜ん恐ろしや、これでは軽い気持ちでナンパなんてとてもできませんね。
懐剣は女性の婚礼衣装のアイテムとしても使われていました。懐剣という名前の由来は、着物の懐(ふところ)に入れる剣、読んで字のごとしですね。

懐剣は着物の懐に入れる剣

ふいご祭りにはミカンが似合う?

武士の魂とも言われる刀ですが、「折れず、曲がらず、良く斬れる」武器としての実用性に加え、美しさという芸術面で高く評価されています。海外映画での登場機会も多く、海外にも多くの収集家がいるようです。
この刀を作る人たちのことを刀工と呼びますが、彼らが大切にしている年間行事にふいご祭りがあります。刀工、鍛冶屋鋳物師など、ふいごで炎を操り鉄に魂を吹き込む職人さんたちのお祭りです。京都や江戸で盛んだったというこのふいご祭り。面白いことにこのお祭りでミカンを食べると風邪にかからないという伝説があるそうです。ビタミンCの補給という意味でも妙に納得できるお話ですね。紀伊国屋文左衛門がミカンで大儲けしたのもこのふいご祭りでのこととされています。落語にもふいご祭りが登場することから江戸時代には身近なイベントだったことがよくわかります。
さて、東京では毎年11月8日に行われる神田岩本町にある金山神社のふいご祭りがよく知られています。この界隈は、神田金物通り、鍛冶町などの名前からも分かる通り江戸の昔には鍛冶職・金属加工業者・金物職人の町だった地域。地元に根づいたふいご祭りは神事だけで、神輿露店などの派手さこそありませんが、日本の金属加工の歴史を今に伝える由緒ある行事です。江戸の昔に思いを馳せて、小刀で切腹?じゃなくてミカンで満腹というのはどうでしょう。

神田岩本町にある金山神社のふいご祭り

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