「日本食を毎日食べているからテーブルマナーは大丈夫」と思っていても、実際に料亭などで食事をしたときに戸惑ってしまったことはありませんか?世界のテーブルマナーの中でも特に日本食は作法が難しく、私たち日本人でもきちんと知っている方は意外と多くはないものです。ここでは、一般的な家庭で食べる際の日本食と、ホテルや料亭などで提供されることの多い「会席料理」について基本的なマナーと豆知識をご紹介します。
一般的な日本食のマナー
一般的な家庭で日本食を食べる場合は、それほど複雑なマナーはありません。以下のポイントを守り、楽しく食事をしましょう。
#お箸の使い方
お箸は正しく持つことが基本で、料理を刺して口に運んだり、お皿を寄せるために使うのはマナー違反です。
#テーブルに肘をつかない
海外ではマナー違反にならないことも多いですが、日本では見た目が悪く同席している人に不快感を与えます。肘はテーブルに接しないようにして、お箸を持っていない方の手は食器に添えておくかテーブルに置くようにしましょう。
#食べ方
日常的な家庭の食事の場合は、ご飯・おかず・汁物を交互に食べるのが基本です。また、食事中の会話は口に食べ物が入っているときは避けて、飲み込んでから話すことが大切です。
#「いただきます」と「ごちそうさまでした」のあいさつを忘れずに
このあいさつは食材や料理を作ってくれた人などに感謝を伝えるためのもので、日本食全般において最も重要なマナーです。食べ始める前には両手を合わせて「いただきます」とあいさつし、食後にも「ごちそうさまでした」のあいさつを忘れないようにしましょう。
会席料理のマナー
会席料理は家庭の日本食と異なり、やや複雑なマナーがあります。前述の一般的な日本食のマナーに加え、以下の点に気を付けましょう。
#席に着くまで
会席料理は比較的テーブルよりも座敷で提供されることが多くなっています。座敷に通された際は敷居や畳のヘリ、座布団を踏まないように進み、自分がもてなす場合はお客様に先に座っていただき、自分がもてなされる場合は相手から勧められるまで座らないようにしましょう。なお、座る場所は入り口から遠い席が上座となっているので注意が必要です。
#席に着いたら
多くの場合、テーブルの上におしぼりが置いてあります。ここで注意すべきは「おしぼりは手を拭くもの」であるということです。夏の暑い時期など、ついつい手を拭いた後に顔や首筋を拭きたくなってしまいますが、これはマナー違反となるので注意しましょう。なお、口やテーブルを拭くことも厳禁です。
#お箸の置き方
お箸を置く場合は箸置きを使うのが基本で、お皿の上に置くことは「渡し箸」と呼ばれマナー違反になります。また、お箸を持った状態でお皿を持ったり飲み物を飲むのもマナー違反なので注意が必要です。
#食べる順番
会席料理のように一品ずつ提供される場合は出された順に食べるのが基本ですが、食べ終わる前に次のお皿が出てきた場合は、一度運ばれてきた料理にお箸を付けてから先に残っている料理をいただきます。一枚のお皿に複数の料理が載っている場合は、どの料理から手をつけても問題ありません。なお、料理を口に運ぶ際に手を下に添えたくなりますが、「手皿」と呼ばれるマナー違反です。お膳から直接食べにくい場合は「片手に持てる重さ・大きさ」のお皿に限り、手に取って食べてもよいとされています。なお豆知識としては、空いたお皿は重ねてはいけません。片付ける人のことを考えて重ねてしまいたくなりますが、絵柄が欠けてしまうこともありますので重ねないようにしましょう。
#魚の食べ方
会席料理で特に難しいのが焼き魚の食べ方です。切身や煮魚は比較的食べやすいですが、頭の付いている焼き魚の場合は通常頭が左に置かれているので、上側の身を頭から尾にかけて左から右へ食べ進めます。上を食べ終えたら、頭の部分から下側の身と中骨の間に箸を入れて尾に向かって箸を滑らして骨をはがし、取った骨はお皿の奥へ置いて左から右に向かって食べます。片面を食べ終えたらひっくり返したくなりますが、これはマナー違反なので気を付けましょう。豆知識として、食べ終わったら懐紙で骨を隠しておくと上品に見えます。
#器の扱い方
汁物や煮物などフタがある器の場合、器に左手を添えて右手でゆっくり持ち上げてフタを取ります。取ったフタは内側を上に向けて、器がお膳の右にあれば右側に、左にあれば左側に置き、食べ終えたら器にかぶせて元に戻します。なお、汁物や麺類などは、適度に音をたてて食べるのがマナーです。
#お腹がいっぱいになってしまったら
会席料理は少量の料理が数多く提供されるため、気付かないうちにお腹がいっぱいになってしまうことがあります。そろそろ満腹、と思ったら、新しい料理を食べ始める前にあらかじめ切り分けておくとよいでしょう。自分が小食と分かっている場合は、事前にお店側に伝えておくと少量で提供してくれるので安心です。どうしても食べられない場合、基本的に残すのはマナー違反ですが無理して食べる必要はありません。その際は、帰るときにお店の方に一言「残してごめんなさい」とお詫びを入れておくことをおすすめします。
日本食の基本を身に着けておくと安心
日本食のテーブルマナーは、食べる順番や作法が細かく堅苦しく思われがちです。しかし基本を知らないと、友人宅で食事に呼ばれた場合や、会社の接待・冠婚葬祭などの重要な場面でもそのことばかりが気になって、せっかくの食事が台無しになってしまいます。一緒に食事をする相手を不快な気持ちにさせないためにも、最低限の基本は覚えておくと安心です。
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